
ユネスコ世界遺産に登録された修道院を巡る旅
- Andrej Ivanovski
セルビア南部の「修道院の谷」と呼ばれる地域には、歴史的にも芸術的にも非常に価値の高い4つの修道院があります。
これらは、中世セルビア国家を築いたネマニッチ朝の歴史と深く結びついており、セルビアの精神的な基盤を象徴する存在です。
ジッチャ修道院
この修道院は13世紀初頭、セルビア初代国王ステファン・プルヴォヴェンチャニと、その弟である聖サヴァによって建立されました。
最も印象的な特徴は赤い外壁です。当時、赤色は支配者一族だけに許された特別な色でした。
セルビア正教会が独立した後、ジッチャは最初のセルビア大主教座となりました。また、歴代のセルビア王が戴冠した場所としても知られています。
ストゥデニッツァ修道院
ユネスコ世界遺産
ストゥデニッツァ修道院は「セルビア修道院の母」と称され、中世セルビア建築を代表する最高傑作のひとつです。
12世紀後半、ネマニッチ朝の創始者ステファン・ネマニャによって建立されました。
白い大理石で造られた聖母教会は、ロマネスク様式とビザンチン様式を融合したラシュカ様式の傑作です。
教会内部のフレスコ画は非常に高い芸術的価値を持っています。なかでも「キリストの磔刑」は、13世紀ビザンチン美術を代表する作品のひとつとされ、その特徴的な青色は「ストゥデニッツァ・ブルー」と呼ばれています。
ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院
ユネスコ世界遺産:スタリ・ラスとソポチャニ
この修道院は1171年、ネマニッチ朝の創始者ステファン・ネマニャによって建立されました。
伝承によると、ステファン・ネマニャは権力をめぐって争っていた兄によって洞窟に幽閉されました。その際、聖ゲオルギウスに対し「ここから救い出してくれるなら、あなたに捧げる修道院を建てます」と誓ったとされています。その後、解放されて権力を得たネマニャは、その誓いを果たしました。
修道院にはかつて2本の大きな塔、すなわち「ストゥポヴィ」があり、それが修道院の名前の由来となっています。ラシュカ様式の最初期の建築例のひとつとされています。
ソポチャニ修道院
ユネスコ世界遺産:スタリ・ラスとソポチャニ
ルネサンスを先取りした美の殿堂
この修道院は13世紀後半、国王ステファン・ウロシュ1世によって、古代都市ラスの近く、現在のノヴィ・パザルからほど近い場所に建立されました。
ソポチャニのフレスコ画は、ビザンチン美術の黄金時代を代表しています。人物の表情の豊かさ、自然な身体表現、そして立体感のある描写から、イタリア・ルネサンスをある程度先取りしていたと評価されています。
最も有名なフレスコ画「聖母の眠り」は、壮大なスケールと調和のとれた構図で描かれた、世界的に知られる傑作です。
ラスの遺跡 ― スタリ・ラス
中世セルビア国家発祥の地
スタリ・ラスの遺跡は、ノヴィ・パザル中心部から西へ約11キロ、ラシュカ川の渓谷を見下ろす標高約750メートルの険しいグラディナ丘に位置しています。
この場所はかつて、西と南からの道が交差し、その後東へと続く重要な交通の要衝でした。
9世紀から13世紀にかけて、ラスはセルビア初の統一国家ラシュカの首都として繁栄しました。ここでセルビアの国家意識と民族的アイデンティティが形づくられていきました。
ガレリウス宮殿 ― ガムジグラード=ロムリアーナ
ユネスコ世界遺産
ガムジグラード=ロムリアーナには、3世紀末から4世紀初頭にかけて、ローマ皇帝ガレリウスが建設した要塞宮殿の遺跡があります。彼は退位後、母親とともに余生を過ごすためにこの場所を造りました。
ベオグラードから南東へ約250キロ、ブルガリア国境近くに位置しています。周囲の景観の中から、古代ローマの白い柱、城壁、要塞の遺構が突然姿を現します。
